INORI広場 Blog

あの世からのお迎え

人が亡くなる前には、あの世からお迎えが来ると言われます。
今回の話の「ここでのお迎え」とは以前に書いた「あの世のガイド」のようなものではなく、文字どうり「お迎え」に来られる様子です。

姉 の 愚 痴


僕の両親はすでに亡くなっていますが、母が先に亡くなった後、父の面倒は一緒に暮らしている姉が看てくれていました。
そんな父が亡くなる前・・・と言っても、頭はいたって正常で体だけがかなり弱っていた頃です。
正月や夏に帰省するたびに僕によく言っていました。


「わしの体はもう長くないと思う。だからお前にきちんとこれからの事も話しておこうと思とるんや」


僕は「そんなこと言わんと長生きしてくれな困るから」と元気づけてはいたのですが、父の様子を見ると、確かにその通りかもしれない・・・と、正直覚悟はしていたのです。


ある年のお盆に帰省した時期に、父の世話をしている姉が僕に言うのです。

姉「最近のお父さんなぁ、以前にも増して寝言が多くて困ってんねん。」
僕「寝言?」
姉は、心臓が悪くなっている父が心配で、夜はふすまを隔てた隣の部屋で寝ているのです。
昔からよく寝言を言う父だったのですが、それが多くなってきたとの事です。

姉「ある時なんて、大きな声でずーと長い事話してたから、ふすまに枕ぶつけて『うるさい!』て言ってやったわ。もう毎日寝不足や
で!
まあ、それは気の毒なことです・・・


姉「ただな、それだけやないのよ」
と姉は深刻そうに話だします。
姉「前なんて、真夜中に玄関から外に出ようとして・・・」
僕「入口の鍵開けてか?」
姉「そうよ!」
 「びっくりしたわ!追いかけて腕つかんで『何してんの!』て言ったら、お父さん、『見送りや』とかわけわからん事言って・・・」
えっ?徘徊・・・?痴呆・・・・?


僕は本気で心配になりました。
でも普段の様子を見ている限りそんなふうには見えないのだけど・・・と思ったものの、年も年だからそんな時期になったのかなぁ、と考えさせられるものがあったのです。

ある夕方、僕は居間で父と二人でいました。
何をするわけでもなく雑誌に目を通していたのですが・・・
父「やっぱりわし、そろそろかもしれんぞ」
またその話が出るということは、やっぱり体調がすぐれないのだな・・・と察したのですが、今までとは違う顔つきでした。

今まで「先が長くないかも」と言い始めた時は、弱気な雰囲気とともに寂しげであったのですが、その時は何か・・すっきりしたような感じでした。

父 の 愚 痴


父「実はな、最近しょっちゅう夜中に昔の友人とか会社の同僚とか遊びに来よんねん」
僕「遊びに来るって・・?」
父「△△会社にいたころの〇〇とか、大学で研究室で一緒やった〇〇とか、昨日は〇〇が居たで」

話に出てくる友人たちはすでに亡くなっている方ばかりです。


僕「来る、てどんな感じでそこに居るの?」
僕は、父が寝ぼけていた可能性が大いにあると思い、いろいろと突っ込んで聞いてみました。
父「夜中目が覚めるとな、みんながニコニコして立ってるんや。ところがな・・・みんな体が透き通ってんねん」

それって、明らかに零体です。

父「みんな白くて、中には下半身が見えないものもいたなぁ」

思えば、父とこのような霊の話やスピリチュアルの話をしたことはありませんでした。
父がその手の話を嫌っていたわけではないのですが、父の話題にスピリチュアル系なるものは全く無いので興味がないものと思っていたのです。

父「それでな、なんかいろいろと困ってることもあるみたいで、わしに相談に来るんや」
まぁ、父は昔から労働組合の長をやったり村長さんやったりでその手の事は好きやったからなぁ・・・

父「だからいろいろ話聞いてるやろ。するといきなり不二子(姉の名前)が、隣の障子をたたいて『うるさい!』て言うもんやから皆すぐに帰ってしまいよんねん」
と父は困り顔です。

父「いつかなんて、皆が『それじゃ』て帰っていくから、わし見送りしたろうと思って玄関まで出て行ったら、不二子がえらい剣幕で怒ってたわ」

これって話のつじつまが合ってますよね

父「なんかみんな、わしを迎えに来てくれてるのかもしれんな、て思ってな・・・だから、わしも長くはないな、と思っとるんや」
そう言う父の顔は少し嬉しそうでもありました。
それから1年後父は他界しました。


父の場合は、まだしっかりと喋ることの出来る時期に「お迎え」の友人知人が現れてくれたのでその様子を伝えることが出来ましたが、衰弱して喋ることのできないお体の方も、同じようにたくさんの知人友人と会っているのかもしれませんね。

話は変わりますが、コロナから世間では、身内の方が亡くなってもひっそりと家族だけのお式が普通になりましよね。
仕方がないとは言え残念なことです。

お葬式って、いろいろ考えることができる場だと思うのです。
骨だけになったご遺体の姿をみてその方の人生を想い、それを自分に振り返ってみて、今の自分の生き方を考えてみたり・・・
身内の遺品整理などをしていると、あの世に持っていけるものは、この世で体験した経験だけなのだな・・・とつくづく思いますから。


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