「動く少年の銅像」前回の話はこちらです。
西宮市の心霊スポットへいった時期から10年以上が経ち、社会人でもあった僕は「手が動く少年の銅像」の話などすっかり忘れていました。
そんなある日、何気なく車から流れる深夜ラジオを聴いていましたら、こんな話をDJが話していたのです。
きっかけはラジオから
DJ「それはそうと、皆さんご存知ですかぁ~。
関西にある〇〇〇の霊園で奇妙な出来事があるそうなのですよ」
アシスタントの女性「なになに?霊園の中で?」
DJ「そうです。聞いた話によると、霊園の真ん中にボールを持った少年の銅像が立っているのだけど、それがなんと・・・」
アシスタントの女性「えー!何ですか?・・・」
DJ「夜中の12時を越えるとね・・一人でボールを蹴って走り回っているそうなんですよ!」
アシスタントの女性「いやいや!ウソでしょう」
DJ「それがですね、その少年の姿を何人もの目撃者がいるそうなんですね!!」
(-_-;)「・・・・・・」
いやいや!!ちゃうちゃう!!
少年はそこまでしないって!
手が動くだけだから!
なんだか時代が変わると、話が大きくなって伝わっているようです。
しかしこれを聞いて当時のことを思い出した僕は、一緒に仕事をしていた学生のバイト男子3人にこの話をしてやったのです。
すると、興味を持った彼らがすぐに見に行ったのは言うまでもありません。
しかし・・・
事態は思わぬ方向へ・・・
霊園にある「動く少年の銅像」を見に行ったバイトの3人が、翌日僕に報告をくれました。
学生A「河野さん!行って来ましたよ!!」
非常に軽い3人の学生たちは、出勤してくるなり僕に言ったのです。
河野「で、どうだった?」
学生B「動きましたよ!!はっきりと腕が!!」
学生C「すごいっスね!びっくりですよ!」
河野「な、俺が言った事は本当だっただろう! (^_-)-☆」
学生A「ええ、本当でした!
でね、俺たち記念写真撮ってきたんですよ」
河野「き ね ん し ゃ し ん ?」
学生A「これです(^。^)」・・・
と言って差し出した数枚の写真・・・
僕は、また軽いノリの3人が少年の銅像の前で、ピースでもして写真を取ったのだろうと容易に想像が出来ました。
でも、その程度の「おふざけ」ではなかったのです・・・
学生Aが石の下から手を伸ばして、少年のオ○ンチンをつかみ、他の二人が堂像によじ登って、一人が少年の頭をぺんぺんとたたき、一人は少年の鼻に二本の指を突っ込んでいました・・・・
そこでポーズ、の「記念写真」
タイマーセットまでしてきれいに撮れていました・・・
河野「・・おまえら・・! これはやりすぎだぞ! こんなのシャレになってない!」
僕が大笑いするものと思っていた3人は驚いています。
この少年自身が『お墓』だと話していなかった僕にも責任はあります。しかし、ここまでするとは思ってもみなかったのです。
この少年にまつわる話は、誰から聞いたのか忘れてしまったので正確ではないかも知れません・・・
このお墓の土地を所有している地主さんのお孫さんが何かの理由で亡くなってしまったらしいのです。
地主さんは若くして亡くなったお孫さんの霊をしのんで、霊園の中央に可愛がっていたウサギを横に置いて奉ったのだ、という話でした。
僕は、この事を3人に聞かせました。
その場の空気が重くなり、彼らなりに悪い事をしたと思っている様子がよく伝わりました。
怪 奇 現 象
数日後・・・
バイトが始まる2時間ほど前に、事務所に電話がかかってきました。
出ると学生Aからです。
学生A「こ・・こうのさん・・・今日の仕事休ませていただけませんか・・・」
河野「えっ?一体どうした?」
学生A「ちょっと車がトラブっちゃって・・・頭も怪我してますし・・・」
河野「事故か!?」
学生Aは、車で大学に通っていました。
話はこうです・・・
いつものように国道を車で走っていると、いきなりフロントガラスがバーン!という大きな音とともに大破したらしいのです。
いきなりで何が起こったのか分からない学生Aは、反射的に急ブレーキをかけ外に出ました。
上から大きな石でもぶつかったのでは、と思ったそうです。
でも、車のまわりには小さな石ひとつ落ちていません。
車をお持ちの方なら分かると思いますが、フロントガラスは特殊な構造をしていて、銃で撃たれても大破はしません。穴があいて蜘蛛の巣状に広がります。大きな衝撃を受けると、硬いアメのように折れ曲がり、メリメリと破ってはがすような感じになるのです・・・
学生Aは、大破して粉々になったガラスの破片で頭を切っていました・・・
もちろん軽症で済んだのですが、彼が言うには、怪我もそうだけど急ブレーキをかけた時、後続車がいれば確実に大事故になっていたということで、今でもぞっとするらしいのです。
その後もフロントガラス大破の原因は分からずじまいでした。
そう、・・・学生Aは、少年の頭をペシペシやっていた・・・その彼です。
事務所では、残る二人に「少年の呪いだ」などとからかわれていました。
しかし・・・笑えていたのはその時まででした・・・・
少年の呪い
それから1週間が経った頃・・・
今度は学生Bから電話がかかって来ました。
学生B「こ・・こうのさん・・すみません・・・しばらくバイトに行けそうにありません」
河野「いったいどうした!?」
学生B「・・・今、〇〇病院で入院しています・・・」
話を聞くと、学生Bはバイク通学をしているのですが、バイクで国道を走っていると大型トラックが幅寄せをしてきたと言うのです。
過失か何かはわかりません・・・
思わずよけた学生Bは、勢い余って歩道へバイクを乗り上げてそのまま電柱に激突・・・・
幸いそれほどスピードは出ていなかったので、どこかを骨折するほどの怪我ではありませんでした・・・
しかし、歩道に乗り上げた拍子に体が飛んで、ちょうど電柱をだきかかえるような格好でぶつかってしまったのです・・・
学生Bのオ○ンチンがまともに電柱に当たり、5針も縫うほどの怪我をしました・・・
いやぁ・・(-_-;)聞いただけで痛そうです・・・
彼ですか・・・少年のオ〇ンチンを握っていた奴です・・・・
ここまで来ると単なる偶然とは思えません。
最後に残った学生Cは確かにおびえていました。
「絶対に少年の呪いだ・・・次は俺の番だ・・・次は・・・」と言って・・・
しかし、幸いにもしばらくは何も変わった事は起きませんでした。
僕も単なる偶然かもしれない・・と、思い始めてきたある日・・・・
学生Cからの電話でした。
学生C「こ・・こうのさん・・2日前から体の具合がわるくて・・・ちょっとバイト出来そうにないのですが・・・」
河野「おまえ、声が変だぞ・・」
学生C「そうなんです・・・代講立てるにしても仕事の引き継ぎがありますから、とりあえず今から行きます・・」
しばらくして教室に着いた学生Cの様子ですが、顔は真っ赤で、鼻水と涙でぐちゃぐちゃです。
特に鼻の周りは少し腫れているではありませんか。
学生C「痛みは無いんですけど・・・2日前から鼻と涙が出てとまらないんッスよ」
河野「お・・おまえ・・・病院へは?」
※本人には申し訳ないが、笑いをこらえている僕・・・・
学生C「行きましたよ。でも、原因が分からないし、薬も効かないし・・」
すでにお分かりだと思いますが・・・彼は、少年の鼻に指を突っ込んでいた男です・・・・
———————-
いかがです?
これは単なる偶然なのでしょうか?
あの少年が銅像の上で手を振ってるように見えるのは事実です。
はっきりと見えます。
でも、実際に手を振っていたのかどうかは分かりません。
しかし、夏の夜の奇怪な現象だけを楽しんでいるだけなら少年も一緒に遊んでくれるのでしょうけれど、礼儀を欠けた行いにはお仕置をしたのかも知れませんね。
その霊園ですが、数年ほど前にたまたま近くを通る用事があったので、足を延ばして見に行きました。
学生の頃から、かなりの年月が経っています。
園の中に入っていくと、場所を間違ったのかな・・と思うくらい様子が変わっていました。
当時、車を駐車して像を見ていくことの出来た広い道路も形すらありません。
園の敷地にはお墓が所狭しとびっしりと並んでいたのです。
少年の銅像はどこだろう・・・と探すと・・・ありました。
銅像だけは、昔と変わらず手を挙げて立っています。
しかし、近くに行くまでが大変でした。
人一人通れる程度の道をゆっくりと歩いてゆかなければならないのです。
あの当時からこれだけの数のお墓が増えたのだな・・と思うと、日本人口減少の現実もまざまざと思わずにいられませんでした。
◆◆長い物語を読んで頂き、どうもありがとうございました。◆◆
【読者登録】
読者登録いただける方や配信解除のご希望は下記からお願いします。(配信解除希望の方は、メッセージに「配信解除」とお書きください。)
※ご登録いただきましたメールアドレスは、ブログ配信以外には使用いたしませんのでご安心ください。
※お名前は本名以外でも結構です。
※配信は「inori@ktf.biglobe.ne.jp」からいたします。スマホの方は受信が出来るよう設定をお願いいたします。
※記事へのコメント欄はもっと下にございますので、そちらからお願いいたします。
この記事へのコメントはありません。