今回の「石が教えてくれる」現象は、石の持つ効能が、持ち主の行動をサポートしてくれるといったものではなく、もう少し現実的なお話です。
まるで生き物みたい
店でブレスを作っているとき、たまにあるのですが、なぜか途中でゴムひもが切れたり、何度やってもうまくいかないときがあります。
はじめは気が付かなかったのですが、何年もやっていると、そんな時(うまくいかない時)に現れる「規則的な現象」が分かってくるのです。
それは石の組み合わせ(色・デザイン)が良くなかったり、基本的な並べ方のミスだったり・・のケースです。
デザインで言えば、実際に並べてみた時と糸を通してみたときとではイメージが変わることは少なくありません。
同業者の方なら「あるある」だと思うのですが、そうなのです。
不思議なのですが、これは明らかに「石が教えてくれる」としか言いようのない現象なのです。
お客様がいくつか石をお選びになられて、「これで私に合うものをお願いします」といったオーダーはよくあるのですが、その時はいつも神経が張り詰めます。
お客様がお待ちになられている時間の間に、内容・デザイン・効能ともに満足していただくものを作らないとなりません。
1時間かかって作っていたらお客さんは次に来てくれませんから。
つまり、これは僕への実践的なテストみたいなものです(笑)。
そう、毎回ね。
初期の頃は『さあ、どうする・・』と心の中で自問したものです。
でも今は、緊張はしても焦りはありません。
それは「石が教えてくれる」ことが分かっているからです。
この石の横にはこの大きさのものを並べて・・飾りはこれをつけて・・とインスピレーションがどんどん沸いてくるのです。
そして、出来上がりは・・自分で言うのもなんですが・・上々です。
不思議なもので、時間があるときより短い時間で神経が研ぎ澄まされているほうが、よい作品が出来ますね
実は、このようなことは石に限らず他の業種の方でも同じ経験をしていることが分かりました。
どんな業種でもみな同じです
お客様の中に、お花屋さんを経営されているの女性の方のお話です。
「アレンジメント」という花は、僕は出来合いのものしか買ったことがないのですが、そのお店では、その場で作品を作ってもらってお持ち帰りされる方のほうが多いのです。
プレゼントであれば、相手の年齢や立場、何のプレゼントか・・など。イベントであれば内容によって変わるでしょう。
予算の問題もあるでしょうし、何より花の状態によって入れるタイミングも考えないとならないといいます。
「短時間にそれを作るとなると、それは大変でしょう」、と僕が言うと、その女性は「そうでもないですよ。大体の感じは花の雰囲気で勝手に手が動きますから」ということでした。
この方の花のアレンジは他のお客様からも気に入ってもらっているらしく、指名が入るそうです。美容院と同じく花の創作にも「ご指名」とは驚きましたが、しかし当然のようにも思えます。
何かを作るとき、センスの良し悪しを言われますが、これはひょっとすると「相手(モノ)と、どれだけ気持ちを通じ合わせることが出来るか」で技術力は格段変わってくるのではないか・・と思っています。
ブレスを作っているときの話に戻りますが、石が導いてくれる感覚は、仕入れに中国やタイへ行き始めてからそれは強くなりました。
実際に現地で足を棒にして、かなりの店を回って値段の交渉をして仕入れてきた石です。
僕にとってそれらはすべて愛着があります。
店では整理して並んだ石たちも、どんな店でどんなディスプレイの中で売られていたかはすべて記憶にあります。
だからでしょうか・・・
より一層石が先導して教えてくれるのです。
そういえば10年くらい前、原石をペンダントに仕上げたくてワイアーを習いに行ったのです。
年配の女性の先生でとても教え方の上手な方でした。
応用編に入ると、ワイアーでいろいろな飾りというかデザインを考えていくのですが、初めの頃はなかなか良いデザインができません。頭で思っているとおりに形になってくれないのです。
その時先生が言うのです。
「ワイアーに任せていればいいですよ、ワイアーが教えてくれますから」
この意味が、当時の僕はわかりませんでした。
10年経った今はよく理解できます。
そうです。
石とワイアーをいじっていると、勝手にワイアーが「こうだよ」といった感じで自然と動いてくれるのです。
ですから同じデザインは作れません。
「石が教えてくれる」と同じで、花屋だと「花が教えてくれる」、料理人だと「食材が教えてくれる」、大工さんだと「木が教えてくれる」のでしょうね。
そしてこのような事って、もっと深く掘り下げてゆくと、何か特別な「域」に入れる気がします。
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