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前世の記憶

このお話は、以前の「未来を見せる夢」に登場してくれたTさんの話の続きになります。
まだお読みでない方は、是非ごらんになってからこのお話を読まれると、よりリアル感がございます。

よみがえった過去の記憶

あれから1年くらい経った春のある日。
Tさん「教え子たちが無事に合格出来てよかったわー」

河野「そうですね、あれから1年ですか。早いですね。」

と、そんなお仕事の話をしていたのです。
決して優しいだけの先生ではなく、人としてルールを守らない生徒にはとことん厳しく当たるTさんの姿勢に僕は好感を持っていました。

私立高校の非常勤講師と学習塾での掛け持ち持ちをされている彼女の頑張りも、陰ながら応援をしていました。


そんなTさんから新たなお話を伺うことが出来ました。

Tさん「今の学習塾に勤めることになった不思議な話は前にお話しましたよね。」

河野「ええ。行くべくして行った場所ですよね」

Tさん「実はね・・・」
と言って、少し迷った感じの後に話されます。

Tさん「店長だったら、変に思わないで私の話を聞いてくれますよね」

河野「はい。もちろんですよ」

それから聞いたTさんの話は前世の記憶だったのです。

まず、どうして前世の記憶だと分かったのかを聞いてみました。

Tさんは子供の頃、大病をしたことがあります。
高熱で動けなくてからしばらく寝たっきりの状態でいました。
何日も・・・
そうして、次第に意識が遠のいて行って『ああ・・私は死ぬのだな・・・」と思ったのです。



意識がどんどん深く深く沈んで行くのが分かります。


するとあるビジョンが現れてきました。
時代は平安時代の末期、源平の戦いの時代です
その時のTさんは平家の武士だったそうです。
自分の立場は平家の武士で、スパイとして源氏方に潜伏していろいろな情報収集をしていたようなのです。

そしてやがて大きな戦が起こります。
戦いの混乱の中、平家でありながらも源氏方の衣装を着ていたことで、味方の平氏に殺されてしまいます。

 

味方に殺されてしまったの・・・とつぶやくTさんは何とも言えない眼をしていました。

時代は変わり、古代エジプトの全盛期時代です。
その時の自分の立場は「セヘジュ(監督官」)の娘です。


セヘジュとは、ピラミッドを創ったり灌漑(かんがい)工事などの土木工事すべてを取り扱う現場責任者です。

テニスの試合で審判が少し高い椅子に座って競技を見ていますよね。
セヘジュは、それと似た高い椅子に座って現場の様子を監督していたようです。
たくさんの人たちが労働しているのを管理しているのです。


Tさんの話で興味深かったことがあります。
この時代の奴隷たちですが、「奴隷」という言葉から、今まではどこから無理やり連れてこられてひどい働かせられ方をしているイメージがありますが、最近の研究ではそれは違っているという説を何かの本で読んだことがあります。


「奴隷」というより、彼らはきちんと給金も休日も与えられていました。ただ、過酷な労働も多いという、少しブラック企業的程度の環境での働き方らしいのです。

Tさんもそのことを言っていました。

Tさん「奴隷と言っても鞭でたたいたりといった管理では全くなくて、普通に労働者として肉体労働をしている人たちよ」と。
ほんと、見てきたようにおっしゃいます。

Tさん「父はセヘジュだったから、その娘である私は別に働かなくてもよかったの。でも、人とかかわることが好きだったから町で働きに行っていたのよね・・・・その時なの・・」

Tさん「大洪水が起こったのが・・・」

河野「・・ナイル川の大洪水・・・ですか」

Tさん「私や父も含めて多くの人が亡くなったわ」

Tさん「私はね、あの頃なんでも自由にさせてくれた父に、何にもお返しをしてないのよ。親孝行一つせずに亡くなってしまったことが悔やまれていたのよ」

  再 会 


前世の記憶があるということは、それぞれの後悔や辛さも覚えていることですから、それはそれで重い記憶だな、と思いました。

ところがね!!
とTさんは目を輝かせておっしゃいます。

Tさん「その父と再会できたのよ!」

河野「どういうことですか?」
Tさん「今いる学習塾の塾長が・・あの時の父なの!一目みてわかったわ!」

それを聞いた時、すべてのTさんのシンクロニシティがつながりました。

Tさんが母を亡くした後、夢で見た学習塾の外観。
それも、当時まだ形もなかったはずの未来の学習塾
そして私立高校の職の一つが無くなったこと。
たまたまスマホで求人を探していたら、勝手に指が、今勤めている学習塾の求人募集の問い合わせに、ぽちっと押してしまっていたこと・・・

これは何かに導かれているといって間違いがないでしょう。

前世を記憶している者にとって、姿が変わっても、以前一緒にいた人が誰であった分かる、ということはよく聞く話です。

Tさん「塾長はね、36歳で私より若いのだけど、とってもリーダーシップがあって管理能力に優れているの人なの。そう、父の姿なのよ」

Tさんはとっても嬉しそうです。

Tさん「ただね、自分の我を通しすぎる人だから学生の講師ともたまにぶつかってるわ。

私ね、エジプトの時代、父に何もお返しできなかった分、そんな四苦八苦している塾長の力になれたらな、と思っているの」
とおっしゃられるTさんはとても幸せそうでした・・・・


いかがでした?
人は、あるグループの人たちの中で役割を変えながら転生を繰り返してゆきます。
時代ごとに、自分の子供だったり、恩師だったり、夫婦だったり、敵だったり・・・・
喜びや感動だけでなく、口惜しさや悲しみ、憎しみなどを与えたり与えられたりして、魂を成長させてゆくのです。

それを知っていると、とても嫌な相手がいても
「ああ、この人は、超嫌な奴の役割を引き受けて私の魂を成長させるための登場人物なんだ」と思えると、少しは達観して見られるのではないでしょうか。
実際にそうですし。

ただ、その中で興味深いのは「人の性格は変わらない」ということのようです。
6世紀の同窓会でも書きましたが、今の性格のままで過去にたくさんの役割を演じているようですよ。


それはなぜなのでしょうかね・・・


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