今年の正月に島根県の実家へ帰省した時に聞いた「トンビの恩返し」。なお、これは実話であることも付け加えておきます。
大体において僕の親父は生き物が好きなのです。
猫や犬、金魚や鳩の類は当たり前ですが、普段余り人が飼わない生き物まで飼ってしまうのです。
山で傷ついた鷹を飼っていた事もありますし、タヌキやイタチまで・・・。
野生の生き物は餌に困ります。ですから、ある程度回復した時に逃がすのですが・・・。
ある時、僕が友人からヤシガニをもらってきたときもそうでした・・・。
沖縄で美味だといわれる高価なヤシガニです。
もらった時は、まだ元気でピンピンしていました。
ヤシガニをご存知の方はお分かりでしょうが、あのグロテスクでカメのような巨大な体は少し恐怖を覚えます。ハサミは鉄のような硬さで、2cmくらいの厚さの木なら簡単に穴を空けてしまいますから。
親父がそれを見て、そのヤシガニを食べるのではなく「飼おう」と言い出しました。
結局、半年くらい生きたでしょうか。冬は暖房の効いている部屋の中に入れていましたが、寒さには耐え切れず死んでしまいました。
そんな親父が去年の出来事の話をしてくれたのです。
畑仕事から帰ると、庭先の草木が茂っている藪のなかで何かが動いているそうです。あたりは鳥の抜け毛が大量に散らばっているのです。
・・・何だろう・・・と思いそばに行くと、トンビが血まみれで倒れていたのです。
何かの動物にやられたのでしょう、羽の付け根にかなりひどい傷があります。中までえぐられていてぐったりしていたそうです。
家につれて帰り、鳥小屋を作り(親父はこのような工作技術はプロ並です)、羽に薬を塗って介抱したのです。
日が経つにつれ、初めは警戒していたトンビも、回復する頃には人が見ている前でも餌を平気で食べるように慣れてきたといいます。
そのトンビは、足にコケが生えるくらいの長老だったそうです。
回復してきた頃、家の周りには仲間と思われるトンビが、毎日数羽、家の上空を旋回していました。ずっと様子を伺っていたのですね。
ある程度飛べるようなった頃、ようやく自然の中へ返す事が出来ました。
それから数日後のことです・・・・
玄関先で母が近所の人と話をしていると、突然空から魚が落ちてきたのです。
いきなり『ドサッ』という音で、びっくりしてそのほうを見ると、40cmはある「ぼら」が庭に落ちているというではありませんか。
上空にはトンビの群れ・・・
これは近所の方も一緒に目撃しているから間違いありません。
この状況は、トンビがお礼をしてくれたのだと考えるほうが自然でしょう?
実は、話にはオチがありまして・・・
このお魚が降って来たのは翌日も翌日も続いたのです。母にすれば嬉しいやら驚くやら・・・でしたが、少し期待もあったのでしょう。
3日目のその時は「ぺちゃ」という小さな音でひらめが落ちていたのです。母が「ひらめか」と言って、しばらく放っておいたようです。
すると、次の日から二度と魚は落ちて来なかったそうです・・・
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